クローズアップ 2017  輝きの女たち

サックスの音色に魅せられて
音楽活動再開しグループ結成

上田 ゆかりさん
オオイタ・クラシック座
サックス奏者


 透明感のある柔らかい音色がスタジオを包んだ。撮影が終って少し聴きたいと頼んだ。「ユー・レイズ・ミー・アップ」。トリノ金メダリスト荒川静香さんがエキシビジョンで踊った曲だ。ステージで好んでよく演奏する曲だという。間近で聴いたサクソフォンの演奏に心を動かされた。「人の声に一番近い楽器なんです」。小柄で細身の身体が、多彩な表情をもった音色を豊かに表現する。この日のドレスは、自身の宮参りに母が着た訪問着をリメイクしたもの。結婚、子育てで中断していた音楽活動。10年ぶりの不安を消し去るように笑顔が弾ける。
 サクソフォンとの出会いは上野ヶ丘中学。担任の教師が吹奏楽部を指導。チャレンジしたのがサクソフォンだった。部長になった3年、県代表になり九州大会で銅を受賞。「ステージは魔法がかかったような時間だった。スポットライトを浴びて喜びをわかち合った」。その感動、音楽の力が大分高校、武蔵野音大へと進ませた。  卒業後は大分で音楽教室のサクソフォンの教師に。サクソフォンを習いに来たのが現在の夫。27才で結婚、挙式では2人でサクソフォンを披露した。出産後は育児に専念。夫が経営する電気工事会社の専務として経理を担当する。現在、子供は小5、5才と成長。「サックスを吹きたい」「音楽の仕事をしたい」という気持が高まり、1年前から音楽活動を再開した。コンサートや施設の慰問演奏などジャンルにとらわれない演奏スタイルで音楽のあるステキな時間をつくる。
 今年8月、音の泉ホールで開催された「シェムポーニア演奏会」に出演。打ち上げの席で呉から来た80才の婦人が「こうしてきれいな音楽が聴けるのは平和の証。いつまでも聴ける平和の時代であってほしい」と戦争体験者としての感想を伝えた。「涙が出ました。思いを音楽を通して伝えていきたい」。音楽は捨てられないという覚悟を意識した出会いが背中を強く押した。
 この夏、新しくグループを結成した。大分高校音楽コース出身の3人(ソプラノ、サックス、ピアノ)による「オオイタ・クラシック座」。あえてクラシックを強調した。11月にプロモーションライブを佐伯で、12月1日大分でお披露目のステージ。「今から楽しみです」。
 子育て、会社の仕事、教室主宰、コンサートとめまぐるしく1日が終るが午後4時から6時までの2時間、毎日の練習は欠かさない。体力をつけるためのティラピスも始めた。ブログには「たくさんの笑顔とご縁をつなぎたいサックス奏者」。笑顔が絶えない一時だった。


●プロフィール
1978年大分市に生まれる。
上野ヶ丘中学で吹奏楽部入部。サクソフォンを担当。大分高校特進音楽コース2期生。
武蔵野音楽大学器楽学科サクソフォン専攻卒業。
在学中、東京国際芸術連盟主催新人オーディションに合格。同新人演奏会に出演。
サクソフォンを生野一也、栃尾克樹(東京佼成ウィンドオーケストラ、バリトンサクソフォン奏者)両氏に師事。
2006年に結婚。小5、5才の2児の母。夫が経営する電気工事会社専務。
昨年10年ぶりに音楽活動を再開。ジャンルにとらわれない演奏スタイルで大分県内を主に活動。
Yukari Saxophone教室も主宰。


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