MY LIFE 2020  輝きの女たち

20年ぶりの大分で居場所つくり絆ふかめる
府内町にスパイシーカレーと酒と肴の店

竹下 真紀さん
「ぱんくろ」をオープン

 熊本地震から4年がたった。4月14日の夜と16日未明。最大震度6強の地震が発生した。当時、震源地の益城町近くに居住していた。「今、思い出しても体がふるえる」。家族の絆を強く意識し、20数年ぶりに大分へ帰郷したのは3年前。英語が得意で高校は親元を離れて長崎の活水高校へ進学。卒業後はOA機器の会社に就職。転勤先の熊本で地震に遭った。
 「考えたら、私、大分のこと何も知らない。大分に自分の居場所を、生活の基盤を作りたい。親のこともあって」。トータルでいろいろ学べるのではと中国や韓国の観光客が多い由布院の旅館に2年程勤めた。好きなお酒を肴に客と会話を楽しめる店を持ちたい。昨年から準備をすすめ、事業計画を提出し市の補助金も受け3月31日、府内町3丁目のビル2階に「ぱんくろ」をオープンした。
 店名は「生きる糧」という愛するネコたちの名前。看板には自身の似顔絵と一緒に暮らすネコ5匹がまったりしている。絵描きに頼んだお気に入りの似顔絵だ。店内はカウンターとテーブル席があり1人で切り盛りする。新型コロナウイルス感染拡大で自粛中の最中。「お酒も肴も勉強中。立ち寄ってくれるお客さんと一緒に居心地のよい空間を作るのに急がずこの時間を大切にしたい」。
 自身を「冒険が好きで好奇心旺盛。受け身より攻めるタイプ」と分析する。熊本で食べたスリランカカレーにはまった。パラパラの米が特徴のアジア系のカレーに魅かれる。で「ぱんくろ」でもランチはスパイシーカレーとパスタを出す。米はパキスタン米やジャスミンライス、日本米。ルーにもこだわる。アジアンチックで興味をそそられる。夜は500円均一の肴に日本酒やワイン。レアものも揃えていく。ネコのラベルのワインも用意するとか。
 もともと動物好きでネコと暮しはじめたのは8年前。大分のショップで出会ったノルウェージャンフォレスト。原産ノルウェーで長毛。「売れ残った感があった」。娘の誕生日でもあった。以降、家族は増え続けて5匹。娘2人は自立して千葉と東京で暮らす。「ネコは無償の愛をくれる存在」。もう一つレトロチックなものもはずせない。「ゆるい感じの台湾が好き」で1人旅も楽しんだ。店は窓枠にステンドグラスを施しレトロな雑貨を飾る。ふと懐かしい風景に誘われた感覚になった。
 家族の居場所を作りネコと暮らす平穏な日々。1人で映画もよく観に行く。この1作をあげるなら韓国映画の『私の頭の中の消しゴム』。「期待せずに観たのによかった」。店は経営する店主の人となりが醸し出される。「自分で生み出したモノを食べてほしい。スパイシーカレーは身体の浄化作用があります」。現代的な風貌の中にレトロが棲む。



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