MY LIFE 2021  輝きの女たち

神の手℃井教授と「運命の出会い」
乳房再建手術、県下で第一人者の女医

種子田 紘子さん
たねだ内科 形成外科 副院長

 形成外科の専門医。女性では大分で唯一人。全国的に見ても形成外科の医師は少く学会に登録している医師は3000人という。2017年、父が院長を務める「たねだ内科」(大分豊饒)に形成外科の診療科目を設けた。
 女性のがんの第一位になっている乳がん。県下では手術後の乳房再建の第一人者。国際医療福祉大学三田病院(東京)に約8年勤務。形成外科、なかでも乳房再建、陥没乳頭修正術においてパイオニア、神の手≠ニ称される酒井成身教授に師事。500例の乳房再建手術にあたった。
 大分医科大学医学部卒業。付属病院形成外科、大分医師会立アルメイダ病院形成外科に勤務。酒井教授とは「運命の出会い」という。宮崎で行われた酒井教授の手術を見学。その時にスカウトされた。2010年から三田病院へ。12年にはスイスで開かれた学会に同行。アメリカへも留学した。教授の退官を機に大分へ。乳がん術後乳房再建、陥没乳頭修正術、乳輪下膿瘍などの乳房関連の再建が専門。他に眼瞼周囲の形成や重瞼術、眼瞼下垂床手術、義眼床手術なども専門。論文や学会の発表を国内外で行なっている。
 白衣を着ると陽だまりのような笑顔が引き締まる。「仕事はきっちり。患者が要望する結果が得られ、納得するまでやり遂げる」。形が整い、キレイになっていく状態はドラマチック。患者の喜びの表情に「よかった」と安堵する。乳房再建は保険診療で手術時間は5〜7時間。患者自身の肉(自家組織)による再建は、体の負担が少なく、安全性の高い手術方法という。手術前にはいつもファイテンをお守りに最大限の集中力と平常心で臨む。乳がん手術を乗り越え、乳房再建を経て音楽活動やヨガ・ダンス講師として仕事に復帰した女性たちもいる。術前・術後はメンタルな部分が要求される。女性医師だから「話しやすい」といわれたことも。総じて女医を目指した女性たちは「突破する力が強く、パワーがある」と笑う。
 夫も形成外科、内科医師として他の病院に勤務。幼稚園に通う男児2人の母。三田病院に勤務した折には2人の子どもを連れて単身赴任を経験。現在は実母が協力。家庭では「ダメな母親かも」。子どもとゲームの順番をとりあいこするとか。手先が器用で手づくりの布マスクを作る。夜、夫婦でお酒を飲むことも。
 「コロナウイルスは未だ分かっていないことも多い感染症。油断することなく手洗い、うがい、マスクなどの基本的な感染対策が重要と考える。私も大分の感染症対策に、微力ながら今後も協力していきたい」。
 未だ終息が読めない感染拡大に医師としての姿勢がうかがわれる。柔和な眼差しのなかにガッツや頼もしさがのぞく。



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