MY LIFE 2019  輝きの女たち

四季のめぐりを茶道に学ぶ
日々を淡々とフツーに過す

此本 清さん
茶道裏千家
准教授


 冷たい風に変わった12月、お茶の稽古帰りに撮影。きりっとした着物姿がモノトーンの小枝を赤く染める。お茶を初めて10年。結婚後「着物が好きになって」門を叩いたのが茶道。偶然とは考えられない茶道裏千家名誉師範、工藤宗敏先生との出会い。「ただ着物が着たいと軽い気持ちで稽古に通う初心者の私に、茶道の陰と陽の五行を熱心に教えてくださった。茶室を整えることの大切さも」。
 茶道は人間的な未熟さを成長させてくれる場。四季によってお手前がかわり、巡ってくる季節に新たな役割を発見する終りのない茶の道。利休の茶から450年。「ひとかけらのネジとして茶道人口の裾野を広げていきたい」という。
 現在は稽古に励むかたわら、県立高校茶道部の講師を務める。女子ばかり約30名。出向く時はきちんと正装し化粧もしていく。教えたいことは母親や教師以外の第三者の大人の存在。「お茶はツールの一つ。こんな大人もいるんだということが社会に出た時に免疫力になります」。
 茶道裏千家准教授とは異なるもう一つの顔をもつ。ヨガインストラクターのキャリアの方が長い。1971年、熊本市生まれ。10才の頃からバレエやダンスを習い高卒後はダンス専門学校に進学するため上京。在学中からフィットネス業界に興味を持ち卒業後はスポーツクラブに入社。94年、当時としては珍しいヨガ指導資格を取得。フリーインストラクターとして14年間、東京で活動する。税理士である夫と出会ったのは東京で共に学生時代。19年間、変わらぬ愛を育くみ家業の会計事務所を継ぐ夫との結婚を機に大分市に転居した。
 インストラクターとして多忙の毎日から一転した日々にめぐり合ったのが茶道だった。「大分での生活を充実した日常にしてくれた」。そんななかでヨガインストラクターの仕事もスタートさせた。「ヨガはリラックスと思われていますが、日常の生活の中で心身をより豊かにする心と体の運動。呼吸を通して陰陽のバランスをとります。茶道と同じものを感じます」。10年にはキッズヨガ指導資格を取得。4年後にはスイスで誕生したバランス玩具を使用して脳や神経系の機能向上を目的にする《ビリボ》を取り入れたキッズヨガ教室を設立した。幼児体育の側面からも工夫したプログラムを提供している。
 年の瀬。茶杓の銘は「無事」。この1年の無事を感謝し新年を迎える。好きな言葉がある。『人間は自然の真似をすればいい』。あるお坊さんの言葉という。めぐる新年の訪れも日々、淡々と過ぎれば幸せという。映画『日日是好日』のシーンを見るようだ。好きなことに一途。大好きなコーヒーを夫と楽しむ一時も大切にする。美しい佇まいが別れたあとにも余韻に残る。



あなたの身近な「ひと」の情報をお寄せ下さい。

過去1年間の表紙の人たちを見る