MY LIFE 2021  輝きの女たち

国際協力に関心を持ったバングラデシュ
新聞記者、国連職員、そしていまSDGs

安部 由紀子さん
東京女子大学准教授

 2020年は、新型コロナウイルスにより様々な仕組みや生活スタイルが根本から見直される1年となった。過剰な生産や消費も地球環境に及ぼす影響への厳しい指摘が続いている。「時代が後押した」とこの人は言う。
 SDGs(持続可能な開発目標)。2016〜30年までの国際社会の共通目標として15年、国連で採択された17の目標。「SDGsはコミュニティー、国籍、学問領域にとらわれず『世界のことは自分事』と捉えること」と学生に説く。教育現場に携わる教師を対象にした講演やSDGsに関する教科書を作るなど幅広く活動。企業からのアプローチも多い。まさに今、旬の時の人だ。
 国連広報、メディア・リーダーシップ、国際協力、CLIL。メディア、国連・広報での勤務を経て、2018年4月から東京女子大学に教員として着任した。直前までハワイや米国本土の州立大学で講義やワークショップ、インタビューなど実践的な活動をしていた。キャリアの根底にあるのは「好奇心、人の可能性を信じること、平和な社会づくりへの貢献」という。
 国際協力を目指したのは大学時代。大分雄城台高校から東京女子大学英米文学科に進みスタディツアーでバングラデシュを訪れた3学年。泥水の地面に囲まれた小屋、服を来ていない子どもたち…。貧困と飢餓。帰国後もその光景は目に焼きつき、バングラデシュと出会ったことがジャーナリストの道へ。地元の新聞社勤務を経て読売新聞に記者として採用。宮崎支局と社会部に約6年、バングラデシュを再訪した特集記事が大きく掲載された。
 目標は国際協力。専門性を求められる。新聞社を辞めカナダへ留学。翌08〜10年早稲田大学院アジア太平洋研究科(国際関係、難民問題)に進み、海外メディアやITメディアで仕事。10年〜17年まで国連に勤務した。
 多様性。世界の気運は高まっているが日本では民主主義の度合いは22位、男女格差では121位との指標もある。「SDGsは政府や企業が男女格差やジェンダー平等にも取り組むべき」と指摘する。持続可能の実践は日々の暮らしの中から。昨年3月、東京女子大生17人を連れてハワイへSDGsのスタディツアー。ツアー中「ペットボトルは一切使わなかった」。自販機で買う飲料水。当然と思っていた考えや行動を見つめ直す。価値観の転換、新しい価値が求められているとも。
 現在コロナ禍で大分に帰省、リモートで講義(国際英語学科)を行っている。久しぶりに長期に渡って滞在する大分の街。「時間がゆっくり流れ、人間らしい暮らしだな〜」と。学生では?と見紛うほどの第一印象だが、よどみのない言葉の端々に世界平和に貢献する人材育成の情熱がのぞく。



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